以前、
私は虫が嫌いと書きました。
特に吸血昆虫と呼ばれる虫です。
恐怖心とかでは無く、
それはまさに、
憎悪です。
もしも、
アブ殺しの裁判で、
検察から「被告人には、明確な殺意があります!」
と、
言われれば、否定はしないでしょう。
なんせ、
凶器はコレですから↓
しかも、
危険は十分に認識していましたから。
「そもそも、そんなに嫌いなら、キャンンプなんかに行かなきゃいいじゃん!」
「家から出なきゃいいじゃんよ!!」
と、
検察は捲し立てます。
私はニヤけながら、心の中でつぶやきます。
(なんでアブに遠慮して遊びに行かなきゃなんねーの?)
世間の感心を集めている裁判です。
裁判員制度も始まったばかりで、
弁護団にも力が入っているようですね。
「見方を変えれば、被告人は
被害者でもあるのですよ!」
「奥新川での忌まわしい事件は、被告人の人生観を大きく変えました。
そもそも、あの事件の犯人とされているのは、アブではありませんか!」
まるで、民主党の鳩山のように、
微妙な揚げ足を取っているのが姑息です。
ですが、
検察も怯みません。
「被告人宅を家宅捜査した所、興味深いものが多数発見されています。
裁判長、これをご覧下さい」
裁判長は私の家から押収された数々の証拠品に興味津々の様子。
「こ、これは.....痴○電車もののDVDがありますね」
検察
「それは植草教授のものです。極めつけはこれでしょうね」
「被告人は常にこれらの殺虫剤を持ち歩いていました。犯行当日も」
「異議有り!」
間髪入れずに弁護士が異議を唱えます。
「これらは一般に販売されている殺虫剤であり、誰でも所持は可能です」
「7mという有効射程距離も、妥当と思われます」
「弁護人、異議を認めます。」
検察も負けてはいません。
「では、これは、どう説明出来ますか?」
「ミント、つまりハッカ油は”蚊”や”アブ”よけの有効ツールです。常識でしょう?」
「証拠品にある消毒用エタノールもそのために使われます」
裁判長が質問します。
「そのためとは?」
「ハッカ油をコレで薄めるのです。1:9もしくは2:8の割合です
水ではいずれ腐敗してしまいますので.....
霧吹きや携帯用のスプレー容器等に入れて使います」
裁判長
「素肌に直接ですか?」
「はい。これ以上濃度を高めると炎症を起す可能性があるようです」
ちなみに、これをスプレーすると清涼感が得られます。実際には、その清涼感は、
皮膚の表面温度が下がった結果ではなく、”ハッカ脳”と呼ばれる皮膚の感覚神経が
もたらす生理反応。
つまり、脳が涼しいと感じているだけなんです。」
裁判長
「別にどうでもいい無駄知識でしたね」
「皮膚に直接用とそれ以外.....というと?」
「これをご覧下さい」
「近未来型バ○ブレーターですか?」
「いえ.....」
「消臭元の空容器です。」
「この中に高濃度に薄めたのハッカ油を入れ、
揮発の作用で周囲にハッカ成分を拡散させて虫”を寄せ付けない”工夫をしていました。
また、被告人はこのハッカスプレーを衣類やテントの周囲に吹き付けていた事が、
関係者の証言から明らかになっています。」
「被告人は
無闇に吸血昆虫を殺害していた訳ではありません!
”寄せ付けない”対策を取っていたのです!」
裁判長
「分かりました。しかし、これは殺害の意図が明白ですね?」
「わざわざ虫を寄せ付けて殺害するトラップのようですが.....」
「これに至っては、モロ、殺虫剤ですが.....」
弁護団
「テントやタープスクリーンと言った閉鎖された空間では、
非常に有効かつ必然的な手段と言えます。」
「いくら被告人が彼らを寄せ付けない対策をとってはいても、
その警告を無視して侵入してしまえば、住居不法侵入の罪に問われるのは当然です。
無断で吸血行為を行えば、窃盗罪も適用されるかもしれません。」
「さらに、出血させ、かゆみを与え、精神的ダメージを与えたとすれば、
傷害罪も視野に入るでしょう。」
検察はトドメの言葉を言い放ちます。
「しかし、被告人はアブを殺害してしまった......。」
法廷内は静まり返る。
もはやこれまでか.....。
弁護団は、裁判員たちに向って、アブの生態を説明し始めた。
アブがいかに酷いヤツなのだという事を。
裁判員達が少しでも共感してくれれば、何とかなるかもしれない。
「裁判所は、被告人の行為を正当防衛と判断しなければなりません!」
弁護団は強調する。
「皆さん、アブはどのように血を吸うか分かりますか?」
「蚊等と違って”刺す”訳ではないのですよ。」
裁判員達が「え?」という顔をしているのが分かる。
「まず、標的を決めます。」
「基準となるのは、黒くて大きな物体、主に哺乳類です。
濡れた頭髪や衣類などは格好の標的になります。
そして、
二酸化炭素に代表される、炭酸ガスを嗅ぎつけて、標的を探します。
ですから、よく、車やバイクの回りにまとわりつく様な行動をとるのは、
エンジンから出る排気ガスの臭いを嗅ぎ付けての行為なのです」
「そして、暗い所から明るい所に飛ぶ習性があるので、飛行経路は、
下から上に急上昇する飛び方をします。
ゆえに、被害が集中するのは主に下半身。
問題の吸血方法ですが、
吸うのではなく、
舐める
のです!」
法廷内がザワ付くが、弁護団は話を止めない。
「口先端に付いている鈎状の突起で皮膚表面を傷付け、
出血した所をすかさず、
舐める!」
「そんな残忍な吸血方法がありますか!?」
「聞いた事ありますか?」
「舐めるんですよ。イジリーなんとかもびっくりの行為です!」
裁判員達の歪んだ表情が印象的だ。
「しかし、彼らにも天敵がいます」
「自然界は実に良く出来ています。」
「それは、
オニヤンマ」
「オニヤンマはアブを空中で捕獲し、餌として捕食します。」
「ちなみに、オニヤンマの天敵は人間の子供なんですが......」
「そして、被告人の部屋からこんなモノが出て来ました」
「しかも大量に。」
「何ですか、それは。」
と裁判員の一人が言います。
「分かりませんか? オニヤンマですよ ^^。
正確に言えばオニヤンマを模したダミーでしょうか。
ある意味、ルアーのような疑似餌とも言えます」
「これを、タープの端や、帽子のツバなどにぶら下げておくと、
アブ達は天敵であるオニヤンマと勘違いして、寄って来なくなる仕掛けです」
「材料はなんなんだ!?」
検察も思わず聞き返して来ます。
「これです」
「何かのプ○イに使うものですか?」
と、裁判長。
「いえ.....通称トラロープです」
「よりを解いて、黒2本と黄色1本にしてまた編み上げていたようです」
「被告人はこのようなものまで用意して、キャンプを楽しんでいたのですよ。」
「こ、効果はあったのか?」
と、検察官。
「それを検証する前に、アブ殺害容疑で逮捕、起訴されたのです」
「さらにはこんなモノまで。」
「アブは水辺に多く生息しています。
川遊びが大好きな被告人は、これを耳の後ろや手首に塗っていたんです。」
「水に濡れても、落ちにくく、一定の効果もあった。
これは被告人の証言ですが.....」
「しかし、アブはやって来た.....」
「万が一被害にあっても大丈夫なように、応急処置も怠ってはいませんでした」
「ポイズンリムーバーで毒を吸い出した後、
ムヒでも打開出来ない時は、これを塗るといいらしい。
これも、被告人の証言です」
「もう一度言います。」
「被告人は無罪!
正当防衛と判断されるべきなのです〜です〜ですぅ〜」
ってな具合に、
ちん婆妄想劇場は幕を降ろしました。
とさ
皆様も、吸血昆虫には十分にお気をつけ下さい。
読みにくくて、
ゴ メ ン ナ サ イ
m(_ _)m
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